良いミックスとは? 歌い手もミックス師も絶対に知っておくべきこと。

良いミックス師になろう!

ミックスの初心者から中級の方、もしくは上級を目指している方に知っておいてほしいミックスの基本的なところをまとめたいと思います。

スタートが間違っていれば、絶対にゴールにたどり着くことはできません。

良いミックスにたどり着くための良いスタートを、、、

まず、全てはここからだと思っています。

良いミックスとは?

良いミックスとは何でしょう?

と、突然言われてもなかなか言葉では表すことができませんよね。

音程を直せるか、、、リズムを修正できるか、、、ケロケロボイスにできるか、、、という技術的なことはあると思いますが、

今のミックス師はこのあたりできて当然です。

その修正技術を、何のために使うか?ということが判断できるかどうかで、良いミックスと悪いミックスは雲泥の差が生まれます。

たとえば、

  • 高いところの音程がちょっと低いな~、ちょっと上げとこう
  • サビの歌い出し走ってる!ちょい後ろにズラしてキッチリタイミング合わせてあげよう
  • ケロケロボイスはカンタンで超カッコエエ~ 全部ケロケロにしよう

なんて思ってすぐに歌を修正しまったことありませんか?

別にこれはこれで悪いことではありません。おかしかったら直してあげてください。

でも、直す前にちょっと考えてほしいことがあります。

キッチリ音程やリズムを直してしまえばしまうほど、初音ミクのような機械的な歌に近づくということも忘れないでください。

初音ミクは、その機械的な人間離れした歌唱が逆に新鮮ではあったけれども、音楽的には全く魅力のある歌ではありません。

世の中の人が全員同じ音程で、同じリズム感で歌ったら、全員同じような歌になっちゃいますよね。

歌ってみたではそういう世界を目指してしまうミックス師が多いんです。

例えば、「宇多田ヒカル」さんなんて、意識的に音程を揺らしたりやリズムを揺らしてるから逆にめちゃくちゃかっこよくて気持ちいいですよね。

  • あの絶妙な声の音程の揺れを、もしピッチ修正ソフトでキッチリ直してしまったら、、、
  • あのリズムのゆったり感をもしオーディオ編集でキッチリテンポに合わせてしまったら、、、

宇多田さんの魅力は半分以下になってしまうと思います。

もし、腕の立つミックス師なら、、あの声のピッチの揺れを活かそうと、オケに埋もれてしまわないようにボリュームカーブを書いて、またより気持ちよく聞こえるようにEQで調整してあげているとおもいます。

つまるところ、、、良いミックスとは、

歌い手の声質やリズムの特性を把握し、その特性の魅力を最大限引き出してあげることなんです。

全部が全部、ずれを直したら良いなんてことはありません。

なので、、、

「俺のミックス技術を前面に出したい!ミックステクでボーカルより目立ってやる!」

「俺の手にかかれば、音程やリズムも完璧に直せるから、どんな下手でもセミプロくらいには聞かせることができる」

という発想では、良いミックスは絶対に生まれません。


ミックスの目指すところ

先程も話したように、良いミックスとは、

その歌い手が、その歌を歌うにあたって最大限魅力を引き出せることができている

ということになります。

ということは、歌い手の魅力を最大限引き出すと、当然歌い手の評価が高くなりますよね。「もっと評価されるべき」や「歌姫」タグとかもついたりしていることでしょう。

ということは、悲しいことに、、、

歌い手の魅力を引き出せば引き出すほど、、「歌>ミックス」の評価になり、ミックスへの意識は相対的に下がって行ってしまうのです。

良いミックスであればあるほど、ミックス師は歌い手の評価の影に隠れるということになるのですね。

これが、ミックスの目指すところだと思っています。

歌い手へのみなさんへ

いろんな人にミックスを依頼したことがある人はわかると思いますが、音程もリズムも直ってはいるけれども、、、なんかしっくり来ないって経験はありませんでしたか?

そういう場合は、やはり過剰編集されてることが多いです。

あなたの本来持っていた魅力的な部分が消えてしまっている可能性があります。

しかも過剰編集してる人に限って、手間もかけてるという変なプライドを持ってる人も多いからなかなか修正してもらえない、、、という話もよく聞きます。

なので歌い手の皆さんは、「ミックスでオレが目立ってやる!」という人よりでなく、「この人の歌をどうやったら最高に魅力的にできるかな?」と考えている人を見つけてくださいね。

一度ミックスしてもらっただけではなかなかわからないとは思いますが、何回かやってみたら見えてきたりするものです。

また、歌い手とミックス師の持つ音楽的な力配分は、半々くらいです。

どんなにうまい歌い手さんであっても、ミックスがうまくいかなければ歌ってみたの完成度は50%しか出せません。また、どんなうまいミックス師さんであっても、歌い手が微妙だったら完成度は50%にしかならないということです。

良いミックス師さんとの出会えるかどうかということも、歌ってみたの醍醐味の1つかもしれませんね。

ミックス師のみなさんへ

ミックス師のみなさん、自分に絶賛の評価を集める必要はありません。

野球でも完封勝利をした場合、投手の活躍がクローズアップされますが、その投手にどの球を投げさせたかという捕手はほとんど話題に上りませんよね。

ですが、野球の詳しい人は捕手の重要さがわかっているように、ミックスもわかっている人には絶対にあなたの価値はわかってもらえます。

良いミックスほど、歌い手がクローズアップされてしまいがちですが、歌い手とミックス師の関係はこういったものであるべきなのです。

編集技術を披露したいミックス師はたくさん居ると思いますが、動画がアップされた後、「ミックスがいい」というコメントがあまり多すぎない方がよいのです。

「めっちゃ歌うまいな!」「もっとこの歌い手は評価されてもいいはず!」というコメントがたくさん出ることの方に喜びを感じましょう。

きっとその夜はおいしいお酒を飲めますよ。

ミックス師のみなさん!

歌い手の魅力をどれだけ引き出すことができるか、、、それを中心に考えながらミックスの技術を上げていってくださいね!

コメントでミックスに対する評価が少なくても、ちゃんと見ている人は見ています。わかってくれている人は必ずわかってくれています。

ブレてはいけません!

これを続けていればより良い、より大きな話がきて自然と次のステージにあがっていくことができます!

少し時間かかったり、時にはぐっと我慢も必要ですが、必ずたどり着くことができるので頑張っていきましょう!