完成度が上がるミックスの順序

ミックス初心者の方に、一般的に行われているミックスの方法をまとめました。

一見、工程が多いように見えますが、完成度を高めるためにはこれでも最低限な方法です。

完成度が上がるミックスの順序

①DAWにデータを読み込む

  • カラオケを読み込む
  • 歌データを読み込む

※自分でレコーディングした場合は、この工程はスキップしてください

データを読み込む際、オーディオデータをテンポ(BPM)と同期させておくと、ミックス時間が圧倒的に短縮できる。

②OKテイクを選定する

  • 数テイクがある場合、良いテイクだけをつなぎ合わせて1本のOKテイクをつくる

慣れてくれば、一文字ごとにつなぎ合わせても自然に聞かせることができるようになります。たくさんのテイクの中から良いテイクをつなぎ合わせれば、見違えるような良いテイクが生まれます。

でも、一番のNGは不自然なところです。最優先は「自然につながること」なので、良いテイクだけを無理につなげただけでは、良い結果にはなりません。

③リズムを修正する

  • リズムがズレているところを修正する
  • テイクがうまく選定できてない時は②に戻って再度やりなおす

※ピッチ修正が一番手間がかかります。なのでピッチ修正は、テイク選定とリズム修正が完璧に終わった1本のOKテイクを作ったあとに行う方が後々楽です。

①でBPMとカラオケを同期させているので、リズムのずれが一目瞭然です。息のノイズなどもあるので、一概に波形と合わせるだけではよい結果は生まれませんが、明らかにズレてる場合は修正スピードは圧倒的に早くなります。

④ピッチを修正する

  • ピッチ補正ソフトで、音程の不安定さを取り除く

ミックス師の腕の見せ場です。完璧に音程を直してしまうとボカロのように「無表情」な歌になってしまいます。感情」をストレートに伝えるために気になる部分を修正てあげるのが本来のピッチ補正です。ズレてるままの方がカッコイイと感じたら、あえて修正する必要はありません。

⑤コーラスを調整する

  • コーラスもボーカルテイクと同じようにリズムとピッチを修正する

※コーラスが必要ない場合はこの工程はスルーで

もしコーラスが必要なのにデータがない場合、ピッチ修正のデータを使えば、そのままコーラスパートを簡単に作成することができます。ボーカルパートのピッチ補正セッションデータとは別名で保存して、コーラス作成専用セッションをつくってしまいましょう。

⑥歌のボリュームをオートメーションで調整する

  • 全ての言葉が聞こえるよう、一音一音オートメーションを使ってボリューム調整する
実は、この工程が一番歌詞をハッキリと聞かせることができます。画像のように、どの歌い手でもこのくらいオートーメーションを書かないと歌詞を安定して聴かせることができません。ほとんどのミックス師は、この工程が簡易化されてるか、ゴッソリ飛ばされているので歌がカラオケに埋もれやすくなってしまっています。

⑦エフェクト処理をする(必要があれば)

  • 必要があれば、特殊効果をつける
プラグインを使った特殊な表現や、ケロケロボイスもこの段階で。
特殊表現は完全にボーカルテイクができてからの方が完成度は高くなります。

⑧ボーカルとカラオケをEQで調節する

  • カラオケに、ボーカルが入る周波数のスペースをつくる
ボーカルをクッキリとした音像にするためには、ボーカルのEQだけをいじっても限界があります。
カラオケは、ボーカル帯域がありません。必ずEQを使ってメロディが収まるスポットをカラオケ音源に作成してあげましょう。右図では、1500hzに少しボーカルが入るスペースを空けていますね。これだけでボーカルの抜けが歴然と変わります。

⑨小さな音で再生しても歌詞が聞き取れるか確認する

  • 小さな音でも歌詞が聞き取れるか確認する
  • iphone等のスピーカーで確認する

ミックスというと、爆音で確認するというイメージが強いと思いますが、プロは必ず極めて小さな音でもチェックしています。
完成後にかなり小さな音で確認すると、歌詞とカラオケのバランスの良し悪しが良くわかります。小さな音でもしっかりと歌詞が聞き取れたら、大きな音はおろか通常時でもはっきり歌は聞こえますよね。
また、iphoneの低音が全くでないスピーカーで再生してもちゃんと歌詞が聞き取れるかも確認してみましょう。
(iphoneには、パソコンからi.softbankにメールで送ればすぐに確認できます)

⑩可能な限り時間をおいて再度調整

  • 新鮮な頭で再度曲を聴きなおし、より多くの粗を見つけ修正する
何度も同じ音を聞いていると細かな粗が見えなくなります。
時間を置くと、脳がリセットされ再度アラが見えるようになります
自信がない場合、何度も時間をおいては調整を繰り返せば完成度は自然と上がって行きます。

⑪マスタリング(仕上げの微調整)

  • 最終的な仕上げで、音圧を最大限稼ぐ
マスターコンプなどを使って、出音を最終調整します。
WAVEデータにして吐き出しをして作業完了です。
音質は、必ず16bitの44000hz以上にしてくださいね。