ミックス師さんに、イメージ通りの仕事をしてもらうことは結構難しいことです。
忙しいミックス師さんに、仕事をしてもらうだけで助かっていると思ってしまい、結局はおまかせ状態になってしまっていたりする人は多いのではないでしょうか。
でも、できればイメージに近い仕上がりになったら嬉しいですよね。
美容院に行って、イメージ通りの自分になれればすごくテンションが上がるように、イメージ通りの楽曲になればものすごくテンションが上がります。
ミックス師さんに良い仕事をしてもらうための依頼方法をまとめてみます。
ミックス師に、良い仕事をしてもらえる依頼方法
まずは基本的なことになりますが、相手にイメージを伝えるには、できるだけ具体的な完成イメージを持つことが第一歩となります。
漠然と「プロ並みに」「カッコよく」「自分の魅力が活きるように」などと言ってももちろん伝わりませんし、「え?どんなプロに?」「自分の魅力ってどう考えてる?」と、より困らせてしまうだけです。
歌い手とミックス師の完成イメージが最初からバチッと合えば、クオリティの高い作品になるのはもちろんのこと、リテイクも少なくなるのでお互いに良いことだらけです。
このイメージのすりあわせをキッチリしておきましょう!
では、ミックス師に何を伝えたらいいの?
絶対にお願いしたいことを明確に
細かい部分を伝える前に、まずは全体的なイメージを伝えておきましょう。
もしテキストなどにまとめる場合は、「全体イメージ」「細部の希望」などと項目に分けると伝わりやすいですね。
たとえば、こんな感じです。
全体イメージ例①
- なんだかふわふわした、やわらかな癒しのイメージです
- エフェクトは多めで、リッチな空間に歌が少し遠くで聞こえる感じがいいです
全体イメージ例②
- リバーブは少なめで、歌が目の前で聞こえるような感じ
- がっつりケロケロにしたいです
これを伝えると、どちらのパターンでもミックス師さんが目指す方向がイメージしやすいですね。
全体的なイメージを伝えたら、細かなこだわりたいところを伝えましょう。
詳細イメージ例
- 「1:30~1:45」まではラジオボイスに
- サビのハモりはやや大きめに
- サビはダブリングに
といったところです。
全体的なイメージと、細かなイメージを分けて伝えるとイメージしやすいですね。
具体的にこんな依頼ならミックス師さんも助かります。
全体的なイメージ
- ロックなので、リバーブは少なく歌が前に出る感じが良いです
- 歯切れの良い感じがでると嬉しいです
特殊な処理をお願いしたいところ
- 2番のAメロは全てラジオボイスでお願いします
- ブリッジ部分のみケロケロにしたいです
その他
- もし何かカッコよくできるオススメな演出がありましたらお任せします
イメージが明確なら、参考音源を見つけてくる
歌ってみたでは、特殊な演出がたくさんあります。エフェクティブなところは、なかなか言葉だけでは伝えにくいですよね。
「病名は愛だった」のボーカル処理はまず言葉だけでは伝わりません笑
参考になる音源とかがあれば話が伝わりそうですね。
この参考音源をもとに、ガッツリ参考音源っぽくするか、あくまでも参考程度にするか、そのあたりも合わせて伝えておくと作業しやすくなると思います。
もし、細部イメージ作りに困ったら
全体的なイメージが明確に見えるけれども、細部はどうやったらいいかわからない、、、という歌い手の方もたくさんいると思います。
それだったら無理に細部を指定する必要はありません。全体イメージだけつたえて、あとは「お任せします」と伝えてもOKです。
ウデのよいミックス師だったら、こちらの想像を遥か超える完成度にしてくれることも多々あります。
それは歌い手にとっても1つの楽しみでもありますね。
どんなデータを渡したら完成度が高くなるの?
では、ミックス師さんに良い仕事をしてもらうために、完成度が高くなるための種となる素材を渡しましょう。
その前に基本的なデータ作成方法がわからない方はこちらも合わせて確認しておいてくださいね。
カラオケデータは公式のものを
カラオケデータは、youtubeでダウンロードしたものを渡す人もいますが、これは絶対にNGです。かなり音質が下がっているので、必ず公式のものを使いましょう。
母体となるカラオケデータの音質が悪いと、ミックスではどんなに頑張っても良い音質にはなりません。
ここは頑張って公式のものを探しましょう。
捜し方はここでまとめているので、わからない方は確認してくださいね。
ボーカルテイクを複数本渡す
歌のテイクは、複数送るとミックス師さんも選択の幅が広がります。
でも、歌はただ3テイク送るわけではなく、「通常版」「通常版2」「テンション上げ」「雰囲気違い」などいろんなテイクを送ると良いでしょう。
腕のよいミックス師さんだったら、うまくテンションを使い分けて音楽で物語を作ることができます。
例えば、テンションパートでのメリハリ作成、ダブリングやトリプリング、ステレオ効果、コーラストラック作成などいろんな技術を披露できる選択肢が増えます。
でも、ミックス師の作業負担は増えることになるので、事前にテイク数は伝えておいてくださいね。
ミックス師がイメージした特殊な素材があれば渡す
ウデのあるミックス師さんだったら、歌い手の方が知らないテクニックを山のほうに持っています。
そのテクニックをぜひ使ってもらいましょう笑
なので、必要なデータがあればすぐに送りますということは常に伝えておいてくださいね。
僕個人的には、特殊な演出はほぼどの楽曲にも入れています。
「セリフ」のようなパートがあれば、ステレオ用に何本かはあった方がいろんな効果をつくれますし、特殊なものでは「ささやくように歌うパート」を録ってもらうこともあります。
ささやき声って、サビとかブリッジに入れてちょっとしたスパイスなることも多かったりします。m-floとかもよく使っていた手法ですね。
僕がミックスをする場合、ボーカルパートを同時に鳴らす本数は、少ないところは1本だけですが、多いところでは10本以上混ぜ合わせて鳴らすところもあります。
そのためにはやはり良いテイクがたくさんいるのですね。
歌い手の方に一点注意ですが、テイクを複数渡すといっても、全部一発録りのものにするのはやめましょう。
ちゃんと1本1本がマスターテイクを仕上げるように録って、微妙なところを録り直して、ある程度良いテイクになったものが1つのテイク。
そういったテイクが複数準備することがよりよい楽曲へと繋がっています。
まとめ
イメージに近い完成に持っていくには、イメージした音を「伝える」力が必要になってきます。
このあたりは経験なので、いろんな失敗もしてたくさんの経験をつんでいきましょう!
慣れればちゃんとミックス師さんに伝わるはずです。
また、複数テイク渡す時の注意点です。
よりクオリティの高い仕上がりにしてもらうためには、絶対に複数テイクが必要になるのですが、全てのミックス師がそれを望んでいるわけではありません。
初めてミックスを依頼する人だったら、複数テイクを嫌がる人もいます。
やはり、、、手間が相当増えていくからですね、、、
なので、事前にテイク数など物量についてはしっかりと話し合いしておきましょう!
そして、しっかりとお互い信頼し合えるようになって、お互い手間をかけてデータを作成することにメリットがある関係になることが最終的に目指すところだと思います。
ミックス師さんも、あなたの歌なら優先してミックスするよ!っていうくらいの間柄になってはじめてよい作品が生まれるものです。
少し長い道のりですが、まずは第一歩から踏み出しましょう。