今回で防音室はほぼ仕上がります。
遮音材や吸音材を入れるごとに、それぞれどれだけ防音性能が上がるかを検証しながら工事の説明をしていきたいと思います。
遮音と吸音の意味がとてもよくわかる検証結果が出ました。
壁と天井をつくる
今回の防音室の壁は、床と同じく空気層を挟んだ二重壁にします。
基本的には、[外壁の石膏ボード]と、[内壁の石膏ボード]をつくり、その間に空気層(ロックウール詰め)ができるという構造です。
でも、石膏ボードだけでは遮音性能が心配なので、内壁石膏ボードを強化するために、ケイカル板や遮音シートでさらに強化する予定です。
本当なら、鉛のシートも一面覆いたかったのですが、予算と重量オーバーで床が抜けるのが心配なので泣く泣く中止にしました。
壁の制作順序
それでは、壁の制作順序を決めていきます。
先程の設計図の通り、マンション壁と防音室の壁が狭く、約10cmくらいしか取れないので、内壁から作っていくとスペースの問題で外壁が作れません。
なので、外壁から順々に内側へ進む方向でいきます。上の画像で言えばちょうど上からですね。
制作順序
① 石膏ボード(外壁)
↓
② 吸音材(ロックウール)
↓
③ ケイカル板
↓
④ 遮音シート
↓
⑤ 石膏ボード(内壁)
① 1枚の目の壁 石膏ボード(外壁)を張る
それでは、早速壁の外側から石膏ボードを張っていきましょう。
張る前の石膏ボードはこんな感じです。一枚の大きさは、910mm×1820mmで、厚さは12mmです。
これをトラックに入れて自宅に持って帰りました。
注意点
石膏ボードはかなりやわらかく、少しぶつけただけでも穴があいてしまったり角が欠けたりします。防音室は、ほんの少しの空気の漏れでも防音効果は著しく低下するので、石膏ボードの端か欠けているだけでも致命傷となる可能性があります。
なので持ち運ぶときは慎重にしてしてくださいね。
石膏ボードは、隙間の処理がとても重要になります。ちょっとでも間が開くことは防音の致命傷になるので、下記の2点の方法で隙間を埋めました。
今回は表と裏と両方から攻めました。
- 表は、シリコンを流し込んで隙間を埋める
- 裏は、遮音シートを細く切って隙間をふさぐ
これだけするとぼぼ隙間は埋まるので、防音性能は問題なく保たれます。
下記の画像は裏側から見た、細く切った遮音シートですね。表側はシリコンを入れています。
防音性能チェック
無事、外壁となる石膏ボードができました。この地点では、また壁は1枚だけで吸音材すら入っていません。
それでは、この地点でどのくらいの防音効果があるのでしょうか?
防音室の中からスピーカーで爆音を流し、防音室の外に漏れてくる音をマイクで録音してみました。(マイクは防音室からは1mほど離れたところに置いています)
検証結果をご覧ください。
防音なし
防音あり(石膏ボード1枚)
なるほど!石膏ボード1枚だけの壁なら、このくらいの防音性能が出るのですね。
思ってたより、、、防音効果が高そうです!
ちょっとテンションが上がる結果となりました。
② 吸音材を敷き詰める(空気層)
それでは次に空気層になる層に、ロックウールを敷き詰めていきます。カッターで簡単に切ることができるので思ったサイズにピッタリ入ります。スポンジよりもはるかに切りやすいです。
これで防音室内の反響を抑えることができるので、かなり防音効果が上がったはず。
防音チェック
吸音材こんなにも音が小さくなるんですね。
硬く太い石膏ボードで音が小さくなるのはわかりますが、スポンジのようにやわらかい吸音材を入れてもこれだけ効果があります。
これは、中で反響している音を吸い取ってくれているからですね!
吸音材の威力がどれだけ高いかがわかります。
③ 2枚目の壁 ケイカル板を張る
次に、ケイカル板で内側に補強をします。
四方の壁と天井をケイカル板で囲いました。床は相当厚いのでケイカルは入れていません。
ここは、画像を撮り忘れました><
防音チェックだけ行きましょう。
防音チェック
外壁とケイカル板で吸音材を囲ってしまったので、中は吸音材が無い状態です。なので反響しやすいので防音性能としてはこの地点ではまだ効果はありません。
ケイカル板はかなり硬い素材なので、中で強く反響して、高音成分にリバーブがかったような音になっていますね。
これはガッツリ遮音だけして吸音しなかったらこういう音になって外に漏れているということがわかります。
最後に吸音材を入れて、吸音材の効果を比較してみましょぅ。
④ 3枚目の壁 遮音シートを張る
さらに内壁を補強します。防音性能自体は高くないですが、遮音シートを一面に張り巡らせます。
ここも画像を撮り忘れました><
防音チェック
同じく防音チェックですが、遮音シート自体はそんなに性能が高くないのでほぼ同じくらいの音になるかと思いきや、少し音が小さくなっています。
これは、遮音シートの方がケイカル板の方が素材がやわらかいので、中で反響する成分がケイカルより少なかったからと予想されます。布のような素材なので、やや吸音されているのでしょうね。
遮音性能自体はここまであがってはいないはずです。
ここでも吸音の重要さがわかる結果となりました。
⑤ 4枚目の壁 石膏ボード(内壁)を張る
内側に、外側と同じ石膏ボードを敷き詰めました。
ここまでくればほぼ完成に近くみえますね!
防音チェック
今回のポイントである二重壁が完成したところなので、遮音性能は格段に上がっているはずです。
聞いてみたところ、、、見事に音は小さくなっていますね!
隣の部屋どころか、さらに遠い音に聞こえます。
そして、次は吸音材で部屋を覆って仕上げていきます。
⑥ 吸音材を張る(内装)
吸音材を張ると、スタジオっぽく見えますね。
見た目もそれっぽくなったところで防音チェックに行きましょう。
防音チェック
高音は明らかな差で抑えられていますね。ベースの音域はもう少し期待したいところですが、低音成分は防音は難しいようです。
でも、中音~高音は抜群の効果を発揮しています。人間の声で防音室の中から叫んだところ、防音室の1m横で聞くとかすかに聞こえる程度でした。
中で倒れたら、間違いなく助けは来ません><
防音性能の上昇を、音源を並べて比較してみる
それでは、最後に防音性能の推移を一覧にしてみました。
比較しやすいのでこちらでも確認してみてくださいね。
(すべて録音の方法は同じです。防音室の中からスピーカーで爆音を流し、防音室の外に漏れてくる音をマイクで録音してみました。マイクは防音室からは1mほど離れたところに置いています)
防音性能無し
① 石膏ボード(外壁)
② 石膏ボード(外壁)+吸音材
③ 石膏ボード(外壁)+吸音材+ケイカル板
④ 石膏ボード(外壁)+吸音材+ケイカル板+遮音シート
⑤ 石膏ボード(外壁)+吸音材+ケイカル板+遮音シート+石膏ボード(内壁)
⑧ 石膏ボード(外壁)+吸音材+ケイカル板+遮音シート+石膏ボード(内壁)+吸音材
今回特に注意した点
つなぎ目は極力材料同士を直接当てないようにする
音は、振動を伝わって行きます。
なので、その振動さえ止めてしまったら、隣の家はもちろん、隣の部屋にさえ音が漏れることはありません。
では、つなぎ目を直接当てないと、どうやって強度を保つの??
といわれそうですが、
全て防振ゴムをかましてから釘を入れていきました。
釘の部分だけはどうしても振動は伝わってしまいますが、材木同士が直接つながらないというのは防音的にはとても効果があります。
こんなかんじで、材木同士ののつなぎ目には防振ゴムを入れてから釘を打ちました。
床は、強度考えて、材木同士の設置面全てに防振ゴムを張り巡らせています。
まとめ
ようやくほぼ完成しました。
次回は、仮止めをしていた出入り口や、配線穴、内装と外装についてまとめていきます。
一番工事のテクニックがいるところですね!