レコーディングディレクターにあこがれる人はとても多いです。
歌い手の魅力を最大限まで引き出し、最高の歌に仕上げることができたら快感ですよね!
ですが、ボーカルディレクションって、何をしたら良いのか、、、まったくわからない人がが多いんです。
現場では、初めてレコーディングディレクターの担当になった人が、レコーディングが始まる前までは意気揚々としていたのに、いざスタートすると何を話したらよいかあたふたしてしまい、逃げ出してしまうなんてこともありました。
それだけ、ボーカルディレクションは難しいのです。
また、上達することもとても難しいです。
なぜなら、ボーカルディレクションは、経験を積むことによってからしか成長できないので、連続で歌を録る機会が訪れないアマチュア音楽の世界ではやはり上手くならないのです。
筋トレでも月に1回する程度ではほぼ効果は0ですよね。
それと同じで、良いディレクターになるには、月一回程度のレコーディング経験ではなかなか上手くなりません。
かくゆう私も、今では第一線で誰にも負けない自信はありますが、一人前と評価してもらえるまで3年ほどかかりました。
みなさんもこの経験を伝えることができるように、ボーカルディレクションのコツをまとめてみました。
目次
ボーカルディレクションをやってみよう! ディレクションのコツ!
ボーカルディレクションは、考えることが山のようにあります。
例えば、今録ったテイクは前のテイクと上手くつながるか?とか、歌い手の喉のコンディションはどうか?とか、時間内に全て録り終えるためのペース配分は大丈夫か?とか、あらゆることをトータルで考えなければなりません。
なので、常に頭をフル回転させている状態です。休憩なんてありません、、、><
歌い手が休憩している間も、その時間を活かして録り音のチェックと残り作業の進め方を考えなければいけません。
なので録り終えた後は、マラソンをしたように疲れます笑
それでは、実際にどのようなことを考えながらレコーディングをしているのか、項目ごとに説明していきましょう!
楽曲の流れを理解しながら進行する
有名歌い手のほとんどの人は、Aメロから全力で歌って、Bメロも全力でそのまま続けて、サビも同じテンションのまま全力で走りきります。
熱い作品になるのは良いのですが、聞いていてメリハリのない仕上がりで後半まで聞くのはしんどいです。
曲には、必ず「聞かせどころ」が存在します。
その聞かせどころをより最高に聞かせるために、AメロやBメロが存在するということは忘れてはなりません。
ポイントは2つだけです。
①音量を抑えたいところや、声を張ってはいけないところ
歌のパワーを抑えたいところは、ただ単純に声量を抑えて歌ってしまうと、テンションも同じく下がってしまいます。
なので、弱めに歌いながらも、歌のテンションや感情は決して落ちていないテイクを引き出すテクニック(話術)が求められます。
「苦しい気持ちを前面に出しながら、、、」「涙が出るくらい感傷的に、、、」「最後は問いかけるイメージで」と言うと、小さいながらも熱いテイクが録れる場合が多いです。
②サビ等のきかせどころ
やはり、サビは感情をマックスで開放させたいところです。
でも、ただ全力で歌っても何も感動だれにも伝わりません。
熱いテイクだけど、今一歩グッと来ないんだよな、、、っていうことなにてザラにあります。
楽曲の「聞かせどころ」であるサビは、やはり「聞かせどころ」にしなければ楽曲として成立しないのです。
メインディッシュがないコース料理では、満足感は得られないですよね。
そういう時は、「ライブ会場で、あなたを見たい1万人の観客が待っているステージで、まもなく幕が上がっていく時の高揚感をイメージしてみて」などと言うと、ライブ感や感情ベクトルが前へ出ている歌を歌えることが多いです。
歌い手が、ワクワクするような、歌いたい~!と思えるようなゾクゾクする状況を作ってあげることが大事です。
歌い手に、疑問や不安を持たせないこと
通常、レコーディングは、AメロやBメロごと、もしくはAメロでもさらに細かく区切って録ります。
部分ごとに区切って録っていると、何度もレコーディングを止めて、その都度「OK」もしくは「NG、録りなおし」のリアクションを歌い手にしてあげなければなりません。
なので、都度トークバックで(宅録なら直接?)歌い手と話すことになりますね。
ここで大事なポイントは、曲とを止めたらすぐにOKかNGを回答してあげましょう。
時間の基準として、歌い終わってから、悩んでしまってトークバックで2~3秒も経ってしまった絶対にNGです。
こちらが悩む3秒と、歌い手が歌い終わってからトークバックが聞こえてくるまでの3秒は天と地ほど感覚が違います。
また、言い方も弱弱しく言ってはいけません。
歌い手は、絶対に自分の歌が良いかどうか不安なものなんです。
ディレクターが、「うーん、どうだろ、ちょっと考えるからまってね。。。」なんていうと、歌い手は「やっぱり私はダメなのかも。。。」と疑心暗鬼になってきます。
そうなると、歌のテンションは下がり、こちらもより判断が難しくなる悪循環が生まれてしまいます。
NGの場合は、何が悪かったのか、録りなおしの理由も即座に回答してあげましょう!
決して否定的な言葉ではなく、「Aメロの前半は最高だったね!後半も同じ調子でもう一回録ろうか!」「そのテンション保ったままもう一段階上げてみて!」と歌い手もやる気になるような言い方を心がけていきましょう。
歌い手が次のテイクでどんな歌い方をすればよいか、常に明るく道を照らしてあげてくださいね。
もし、即座に判断つかない場合は、「一回プレイバックして聞いてみよう!」などと考える時間を稼いでください。
決して間を空けてはいけません。
歌い手と感情とテンションを合わせる
歌の魅力をもっと!!もっともっと引き出したい!!とまだまだ行けると思って、何度も歌わせ無理をさせると、声質が変わってきてしまい良い歌なんてとても録れません。
かといって、無理をさせなかったら、歌い手は「え?今のでいいの?」とあなたに疑いをもたれながら歌を歌い続けることになります。
歌いきった、やりきった、、、と歌い手が思える時に、しっかりとOKテイクを出せるようにコントロールしましょう。
無理をさせすぎず、もう無理だ、、、と思える限界の一歩手前が歌い手最大の魅力を引き出せるポイントなので、歌い手のテンション、歌い方、実際のテイクの良し悪しなど、その現場の空気をしっかりと読みながらディレクションしましょう。
歌い手のノリとディレクターのディレクションがキッチリはまった時、とてつもなく良いテイクが録れているはずです。
また、そういったハマった時は、ディレクターとしても感覚的にわかります。
歌い手が、完全にノっていることを感じて、あなたもワクワクゾクゾクしているはずです。
歌い手の体力ゲージを感じる
レコーディングで最もダメなことの1つが、歌い手の声質が途中で変わってしまうことです。
喉の弱い歌い手だったら、すぐに声が枯れ始めてしまいます。
一旦声が変わったら、そうそう戻ることは無いですし、最悪別日に録りなおし、、、という地獄が待っています。
それは、歌い手ではなくて完全にディレクターの管理ミスだと思ってください。
歌い手が疲れてきたころ、もしくは声がかわってきてしまいそうな時にうまく休憩を入れましょう。
でも、歌い手は休憩を取ることを嫌がる人が多いので、「ちょっと水飲む?」「1番をワンコーラス流すから、2番のテンションの確認してみよう」とか言ってテンションや緊張感を保ちつつ時間を空けるなどして、、少し歌い手の喉をケアできるようにしましょう。
良い歌を録るには、良い喉の状態を保つことも気にしなくてはなりません。
ディレクターはの考えなければならないことは、鬼のように多いんです。
歌い手の感情をコントロールすること
実はコレが一番難しいんです。
早く次のテイクを!早く次ぎ歌いたい!と思えるほど歌い手がノってくるところところまでテンションを上げていかなければなりません。
そのためには、歌う前から勝負が始まっています。
打ち合わせ段階から、あなたがどんな歌を歌ってほしいか、どういう作品に仕上げて行きたいかをしっかりと伝えるなどして、録る前から「信頼」を得ておいてください。
信頼がないディレクターに、歌い手は心を開きません。
スポーツチームでも、キャプテンへの信頼が強いチームは、気持ちがまとまって強いですよね。
OKテイクならしっかりと良かったと伝え、ノせてあげてくださいね。
レコーディング速度のペースを管理する
もし、スタジオが予算の都合で2時間しか取れてない、または歌い手の次の仕事まで3時間しかない!とう状況では、しっかりとレコーディングペースを管理しなければなりません。
2時間しかなかったら、ワンコーラスどんな遅くても45分以内で仕上げなければなりません。
となると、サビで少し多めに時間を使うとして、Aメロは大体10分程度で録り終わればよいという計算ができます。
レコーディングは、時間がたっぷりある、、、なんてことはあまり無いので、しっかりとペース管理が必要になります。
もし、時間が無くなって別日に録るとなれば、歌い手の声やテンションはほぼ同じにならないので、もう一回最初から録りなおすことになってしまいます。
上手く管理して、レコーディング可能な時間ピッタリに全てとり終えるようにしてくださいね!
もし、本当にピッタリ終えれた時、ブースから出てきた歌い手が時計を見て、「おお!オレ時間ピッタリに終わってるじゃん!オレめちゃめちゃすげーわ!どうよ!?」って言う人がものすごく多いです笑
そうじゃないよ、、、私が全て管理しているのだから、、、
と、悔しいですが、そっと心の中でつぶやきましょう!
ディレクター残酷物語
スタジオで、最高に良いテイクが録れたとします。
レコーディングが終わって、歌い手がブースから出てくると、、、よく拍手喝采が起きます。
「おつかれさまでした~」「めっちゃ良かったよ!!」
と賞賛の声です。
ですが、、、ディレクターもその時、歌い手を賞賛する側にならなくてはなりません。
野球で例えると、キャッチャーであるあなたがの最高のリードでノーヒットノーランを達成したとしても、賞賛を受けるのはピッチャーだけです。
翌朝の新聞には、きっとピッチャーが一面大きくとりあげられるでしょう!
キャッチャーなんて取材すら来てくれません。
ディレクターとは、歌い手以上に頭を使い、気をつかい、レコーディングの後も山のように編集作業が残っているのに、一般の聞き手からは賞賛はほとんどもらえません。
でも、見ている人は必ず見てくれています!
良いディレクターはほとんどいないので、実はものすごく需要はあります。
きっと頑張っていればいろんなところから良いオファーがくるので、その日までがんばっていきましょう!!
ディレクションの練習はどうやったらできるの?
スタジオをレンタルする
一般の有料レコーディングスタジオを借りると、トークバックも付いているので、プロと同じ環境でレコーディングができます。
安くても1時間で1万円弱くらいするところが多いので、勉強代としてやってみるのも良いかもしれません。
もし、友人が簡易スタジオとかを作っていれば借りるのも良いかもしれませんね。
自宅で
自宅で、自分の歌が録ることができれば、人の歌ももちろん録ることが可能です。
ですが、防音設備が無いと思うので、外からのノイズが入らないか心配です。
ただ、ディレクションをするなら良いかもしれません。
とにかくレコーディングは、場数をこなすことが大事です。