防音の基礎知識を身につける 初級編

歌い手の方をはじめ、防音に興味のある方はとても多いです。

やはり音楽好きは、音漏れや苦情との戦いといってもいいですよね。

でも、興味がある人が多い割には、ちゃんとした防音の知識を持った人はものすごく少ないです。

なので防音グッズを買ったとしても、防音の知識が無ければ、その効果を100%引き出せていないかもしれません。

防音の基礎知識だけあれば、防音グッズの効果も何倍にも高くなります。

まずは、防音の知識をカンタンに身につけていきましょう!

そもそも、防音って何?

まず、防音を理解するために、防音の対象となる2種類の音を理解しましょう!

人間の声や歌などの「空気を伝わる音」と、上の階の住人の足音などの「固体を伝わる音」です。

それぞれ防音の対処法が違うので、ざっくりと表にまとめました。

空気を伝わる音 固体を伝わる音
どんな音? 歌声、アコースティックギター等 上の階のスピーカーの音やドラム
何を伝わる 空気 壁や床
防音対策 遮音、吸音 防振
具体的な防音例 部屋に吸音材を貼る
防音グッズを使う
防振ゴムを使う
浮き床にする

「空気を伝わる音」を防音する

まずは最もポピュラーな、「空気を伝わる音」の対策から行きましょう。

隣の家や、隣の部屋から聞こえてくる音や声などが思い浮かびますね。

これらの防音には「遮音」と「吸音」という2つの方法がとられます。

遮音

遮音とは、音を跳ね返して音が外に漏れないようにするための防音方法です。

遮音材が、音を跳ね返せば跳ね返すほど、音が外に漏れる量が少なくなります。

例えば、マンションの壁が薄かったりすると、隣の住人の咳払いの音が聞こえたりしますよね。逆に分厚く固い壁のマンションなら、声どころか生活音すらほぼ聞こえません。

このように、音を外に漏れるのを防ぐ方法を「遮音」と言います。

吸音

吸音とは、吸音材にぶつかった音を吸収し、反響をより少なくするという防音方法です。

遮音のように「音を跳ね返す」のではなく、音を吸い込んで「音の跳ね返りを抑える」ことができます。

反響を調整できるので、室内やスタジオ内の音響を整えることにも使われます。

このように、「遮音」と「吸音」は役割が全く異なっています。

この図だけ見ると、漏れた音が小さい遮音だけでいいんじゃないの?って思うかもしません。

ですが、、、密閉された部屋で遮音だけをすると、遮音された壁で反射した音が、さらに別の壁で反射し、また反射し、、、を繰り返し、最終的には逆に音が大きくなってしまいます。

お風呂で歌を歌うと、遠くまで聞こえてしまうのと同じ現象ですね。

逆に、吸音だけをしたとすると、吸音素材は遮音性能は低いので、音が吸音材を簡単につきぬけてほとんどの音が外に漏れてしまいます。

なので、「遮音」と「吸音」は1セットと考えてください。

「遮音」をした壁が音を反射させて外に漏らすことはなく、遮音により跳ね返った音が「吸音」材によって中で反響することを抑えるので、音が消えて行くのです。

これではじめて「防音」となるのですね。

「固体を伝わる音」を防音する

次に、固体を伝わる音についての対策です。

音は空気だけではなく、モノを通しても伝わります。むしろ、モノを通した方が空気より遠くまで伝わるので、厄介な割には具体的な対策が難しいとされています。

例えば、机に耳をぴったり当てて、コンコンと小さく叩いてもすごく大きく聞こえますよね。

上の階の足音とかで悩まされた人もいるかと思います。

なので防音で最もやっかいなのは、このような壁や床を伝わる音なんです。

このあたりは、意外に対策がされていないところが多いのが現状です。

防振

防振とは、固体を伝わる音を抑える防音方法です。

このような固体を伝わる音を防ぐベストな方法は、なるべく床や壁に音源をつけないということです。

音源がスピーカーなら、床に置かず、なるべく床との設置面が小さくなる手法をつかってください。

なので最高の防振対策は、「宙に浮かせる」ことなんです。

さすがにこれは無理なので、振動を軽減させる防振ゴムや、設置面を極力減らした浮き床などが一般的な対処法です。