こんにちは!
良いレコーディングをするシリーズで、今回は「レコーディングディレクター」に焦点を合わせたいと思います。
レコーディングディレクターの仕事は、ざっくりというと「音楽作品の楽曲クオリティの責任を持つ人のことです。」
歌手とその歌う楽曲の選定から、そのレコーディングまで、主に現場の責任者といったところでしょうか。
今回は、その仕事の中でも「ボーカルレコーディング」に絞って話をしたいと思います。
優秀なレコーディングディレクターがいると、ボーカルテイクのクオリティは格段に上がります。
その仕事内容についてまとめてみました。
目次
レコーディングディレクターとは?
作品づくりにに関わる人たち
プロのレコーディングの現場で、どんな役割の人がいると思いますか?
実は、歌を録ることに直接関わる人はそんなに多くなくて、大規模なものでなければだいたいこの3つの役割の人だけです。
- 歌い手
- エンジニア
- レコーディングディレクター
「歌唱」を担当する歌い手と、「機材操作」を担当するエンジニアと、「品質管理」のレコーディングディレクターがいれば成立してしまいます。
え?ディレクターって何?
いつも自宅で1人で録っているけど?
って思う方もいるかもしれませんね。
ディレクターとは、歌い手が歌ったテイクに対して、OKやNGなどを判断して、レコーディングを進めてくれる人のことです。
たまにレコーディング風景を映した写真や動画で、ボーカルに何かアドバイスのようなことを言いながらレコーディングを進めている光景を見たことがありませんか?
あのディレクションをしている人が、レコーディングディレクターさんです。
ミックス師でもたまにディレクターのようなことをしていますが、根本的なミックス師とレコーディングディレクターは仕事内容が違います。
レコーディングディレクターの役割
レコーディング時に歌い手の能力を最大限引き出す役割。
当日の録り音の責任を持つ。
ミックス師の役割
録った後の歌データを使って、歌の魅力を引き出す役割。
最終的な音質クオリティの責任を持つ。
つまり、良い歌を録るためにいるのがレコーディングディレクターで、そのデータを使ってさらにクオリティを上げるのがミックス師という位置づけですね。
レコーディングディレクターの主な役割
では、レコーディングディレクターは具体的に何をするのでしょうか?
最も重要な仕事は、
あなたの歌の魅力を引き出すこと
です。
歌を録っている最中に、
「ここはもっと抑えて」
「サビ前はもっと熱さが上っていくイメージでいこうか」
「ここはテンションマックスで熱く行こう!」
等と、曲の流れとメリハリを考え、それを1つの楽曲の枠にしっかり組み立てて行きます。
そしてその上で、
高音に魅力があると感じたら、
「サビ頭は無理やりと思えるほど出してみて!」
中音に魅力があると、
「やさしく相手に問いかけるようなイメージで!」
低音に魅力があると感じたら、
「もっと舐めるようにいってみようか!」
といったように、そのアーティストの声の一番魅力的なところが、曲の中のどの部分にハマるかを考えながらディレクションします。
こうやって、あなたの歌が別次元のようにすばらしくなります。
ですが、歌い手だったら、自分の歌は自分が誰よりも知っているんじゃないの?と思う人がいるかもしれません。
実際、オレの歌はオレが世界一理解してる!と豪語する歌い手は山のようにいます。
ですが正直なところ、自分の魅力を理解して歌える歌い手なんて、私は誰一人会った事がありません。
なぜなら、
歌い手というのは、主体性を伝える仕事なので、客観的に自分の才能やその限界を理解することは基本的に不可能なんです。
あなたも、自分の歌がどれだけのポテンシャルを持っているなんて、、、おそらくわからないと思います。
なので、もしたくさんの歌い手を見てきた経験豊富なレコーディングディレクターが録ってくれることになったら、自分の魅力をどこまで引き出せるかを託してしまってもよいかもしれません。
きっと、今まで自分でも知らなかったくらいに良い歌のテイクを歌えることでしょう。
歌うということは、表現することです。
ただ上手く歌うことはカラオケや鼻歌の延長にすぎません。
良いディレクターに歌を録ってもらったら、ただ「歌を上手く歌うこと」と、「表現すること」の差が痛いほどよくわかるはずです。
優秀なディレクターがいると、その歌い手が持つ「歌の本当の魅力」を最大限まで引き出してくれて、今までと違った魅力を作品にプラスしてくれます。
きっと、あなたの才能はまだまだ眠っているはずです。
その他、レコーディングディレクターがしなければならないこと
上記のような歌い手の魅力を引き出すことがメインの仕事ですが、他にすることも山のようにあります。
ただ、歌のテイクの良し悪しだけがOKやNGの判断材料になるわけではなく、実はこんなことを考えながら判断しています。
- 歌のテイクがきれいにつながるか
- 歌い手の声質の変化の管理
- 歌い手の集中力の管理
- 歌い手のテンションの管理
- 残り時間の管理
- etc
多いですね笑
結構あたまの中がゴチャゴチャになっていまいます><
ですが、良いディレクターは、歌い手にこんなことをしていると絶対に思わせることはありません。
なぜなら、あなたに全力で集中してすばらしい歌を歌ってもらうことが使命なので、歌い手に他の余計なことを考えさせてはいけないのです。
ディレクションの具体的な内容や方法論は、下記にまとめていますよ。
いかにお互いが信頼することができるか?
そのために、レコーディングというわずか数時間であっても、時に厳しく、時に優しく、時に熱苦しく、歌い手との関係を築いていくわけです。
そして、ディレクターが「やってみよう!」と言ったことに、歌い手が信頼して、安心して歌えることが最高のレコーディングです。
良いディレクターと出会うには?
良いディレクターはめったにいない
もしあなたが、レコーディングで誰かにディレクションしてもらったとします。
その人がOKテイクを出す場合、「え!?さっきのテイクがOKでいいの??」「もう一回録りなおししたいのにな、、、」
なんて思ったことはありませんか?
もし、一度でも歌い手にそう思わせてしまったら、それは下手なディレクターと言われても仕方がありません。
そして、、、世の中のほとんどが、、、下手なディレクターです。
特に東京以外のだとレベルの差が顕著です。一流は、上の世界のほんの一握りにしかすぎません。
(優秀な人はほとんどが東京に集まるからですね)
良いディレクターは本当に少ないので、優秀な人はやはりプロの世界にすぐ行ってしまいます。
もちろんプロでも優秀なら、プロの中でも引っ張りだこになります。
なので、アマチュアの中でも良いディレクターと出会えることはかなり確率は低くなります。
良いディレクターと出会えるようになってきたと思ったら、それは、あなたが歌い手として会談を駆け上がって来ているという意味と捉えて良いかもしれません。
ディレクターの卵を探そう!
やはり、良いディレクターさんに録ってもらいたい!と思う歌い手さんは多いですよね。
プロの一流ディレクターに録ってもらえることはほとんどないので、アマチュアで才能のあるディレクター(ディレクターの卵)を探す方法をお伝えしたいと思います。
まず最初に断っておきますが、いわゆるボカロPと言われる人の中に優秀なディレクターはめったにいません。
なので、ツイッターとかで「ボカロPです」と名乗っている人はまずできないと思ってください。
どんな有名な人でも、ほとんどの人ができません。
(たまに、、、なぜかできてる人もいますが笑)
録った歌の魅力を、プラグインなどを使ってカッコよく加工をして歌い手の魅力を引き出すことはできても、録っている最中に歌い手の魅力を引き出すことはできないんです。
なぜなら、ボカロPは歌を録る機会がほとんど無いからです。
多くても、月に1~2回程度です。
筋トレでも月に1回する程度ではほぼ効果はありませnよね。
それと同じで、できるだけ継続して歌を録った経験がないと、良いディレクターになることは絶対にできません。
しかも、本当の意味でうまくなるには3~10年はかかります。
かくゆう私も、今では第一線で誰にも負けない自信はありますが、一人前と評価してもらえるまで5年もかかりました、、、
では、良いディレクターの卵はどこにいるの?という話になりますよね。
普通に歌い手の活動をしてるだけではなかなか会えません。
良いディレクターと出会うために、僕が唯一可能性があると思うのは、音楽スクールや音楽専門学校です。
その中でも「歌手」と「作曲」のコースがあるものですね。
例えば、作曲コースのある専門学校なら、作曲をして、自分の曲を人に歌ってもらいたいという学生がたくさんいます。
そして、歌い手ならオリジナル楽曲を歌いたいと言う学生がたくさんあります。
学校内にはプロ並のレコーディング施設があるところもたくさんあるので、いたるところでオリジナル楽曲のレコーディングが行われていたりします。
プロの優秀なディレクターは、誰にでも必ず「卵」の時代はあります。
その卵の時代を専門学校で過ごす人も多いので、もしよいディレクターと出会ってみたいなら音楽スクールや専門学校に行ってみるのはひとつの手かも知れませんね。
ここなら在学中にオリジナル楽曲制作サービスがあるとのことで、ディレクターやディレクターの卵がいる可能性はあります。
歌い手として成長するには、優秀なディレクターと出会う必要があります。
一流のプロ野球選手でも、必ず若手の頃に恩師であるコーチと出会っています。
人に感動してもらえる歌を歌うには、人との出会いを大切にしなければなりません。
これが音楽をする上でとても重要な要素になってきます。
あなたが最高の歌い手になることを期待しています。